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ひょうご講座

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◎ 平成19年度 大学連携「ひょうご講座」(連続講座12講)

欧州連合の現在と未来
-ヨーロッパ統合の深化からわれわれは何を学ぶことができるかー

【第1講 05/16】
欧州統合のあゆみ-独仏和解から大欧州の形成へ-

EUインスティテュート関西代表
(神戸大学大学院経済学研究科教授)
久保 広正


欧州統合へ向けた動きは、第2次大戦直後、本格化するようになる。すなわち、独仏間の紛争を引き起こしてきたアルザス・ロレーヌ地方の石炭鉄鋼業を共同管理することからである。やがて、こうした共同あるいは協調関係は他の部門にも波及するようになり、幅広い分野で統合を目指す動きへとつながっていく。1992年の市場統合、1999年からスタートした通貨統合などである。こうした欧州統合は、やがて欧州の周辺諸国をも惹きつけ、2007年には27ヶ国からなる拡大欧州が成立した。
本講義では、こうした欧州統合のあゆみを振り返り、その考え方を理解することにより、世界における欧州の役割を検証する。
【第2講 05/23】
欧州連合のしくみ-EUでは誰が何をするのか-

EUインスティテュート関西副代
(神戸大学大学院法学研究科教授)
濵本 正太郎


欧州連合は、もちろん国家ではない。しかし、国連などの伝統的な国際機構とは相当様相を異にしている。では、EUの中では誰が何をしているのか、どのような機関がどのようなことについて検討し、決定し、実行しているのか。EUと構成国との間で、どのような権限配分がなされていて、どこまでをEUが決定して、どこまでが構成国の手許に残されているの
このような問題を取り扱うことを通じて、EUの全体構造を大まかに把握する。
【第3講 05/30】
欧州型企業モデル-日米との違い-

EUインスティテュート関西副代表
(関西学院大学商学部教授)
海道 ノブチカ


グローバリゼーションは、EUの社会や経済に大きな影響を及ぼしている。企業経営に関しても株主利益を最優先するアングロサクソン型企業モデルがあたかもグローバルスタンダードであるかのような勢いである。しかし、ヨーロッパではこのようなアングロサクソン型企業モデルとは対照的な社会的な企業モデルを基本的に目指している。すなわち株主利益の極大化だけを唯一の目標とするのではなく比較的平等で、所得水準が高く、安定した資本主義社会をつくることを目指している。したがって企業経営においても株主だけではなく、他のステイクホルダー(利害集団)を志向した利害多元的な企業モデルが展開されてきた。
【第4講 06/06】
経済統合の進展-商品・人・サービス・資本の自由移動-

EUインスティテュート関西代表
(神戸大学大学院経済学研究科教授)
久保 広正


1970年代から1980年代前半にかけ、EU(当時は欧州共同体、EC)は深刻な経済危機に見舞われた。経済成長率の低下、失業率の上昇、国際収支の悪化などであり、欧州経済に対する悲観論が急速に台頭した。こうした「ユーロペシミズム(欧州悲観論)」を打破すべく、市場統合計画が立案された。域内で商品・人・サービス・資本の自由移動を実現することにより、欧州産業の再編成と競争力強化を図ることが、その目的である。その後も、次々に同様の目的を有する計画が策定され、現在に至っている。リスボン戦略、サービス自由化指令などである。
本講義では、欧州経済が抱える問題を整理し、どのような対策が立案され、その効果はどの程度のものであるかを検討する。
【第5講 06/13】
経済通貨同盟-欧州単一通貨「ユーロ」の誕生と成長-

神戸大学大学院経済学研究科教授
藤田 誠一


EUにおける経済通貨同盟の最終段階として1999年1月にユーロが導入され、2002年1月にはユーロの現金の流通が始まった。今回の講義では、通貨統合のねらい、EUにおける通貨統合への道のり、ユーロ導入後の成果と課題を中心に取り上げる。

1.経済同盟と通貨同盟
2.ドル体制とEC通貨統合
3.EMSから通貨統合へ
4.ユーロ導入とEU経済
5.EU拡大とユーロ

【第6講 06/20】
市民の欧州-「ドイツ市民」と「欧州市民」とは両立するか-

EUインスティテュート関西副代表
(神戸大学大学院法学研究科教授)
濵本 正太郎


欧州連合構成国国民は、今日、「EU市民」とも呼ばれる。「EU市民」というのは、どのような地位なのだろうか。彼ら・彼女らは、EUの政治にどのように参加するのだろうか。
「EU市民」は、もちろん、フランス人・ポーランド人などそれぞれの国民でもある。
ならば、「EU市民」であることと、たとえば「チェコ人」であることとは、どのように両立するのだろうか。ポルトガル人は、ポルトガル人であることを捨てずにヨーロッパ人になることができるのだろうか。
【第7講 06/27】
市民にとっての欧州連合-EUは日常生活にどのように浸透しているか-

EUインスティテュート関西副代表
(神戸大学大学院法学研究科教授)
濵本 正太郎


欧州連合は、次第に権限を拡大し、市民生活への浸透も深まっている。一般市民の日常生活に、欧州連合はどのような影響を及ぼしているのだろうか。EU市民の中には、欧州統合の一層の推進に未来を見出す人々がいる一方で、統合の深化が彼ら・彼女らの日常生活に脅威をもたらしつつあると考えている人々もいる。フランス・オランダにおける憲法条約の否決も例に取りつつ、市民にとっての欧州連合の意味を考える。
【第8講 07/04】
欧州連合の外交・安全保障政策-EUは世界でどのような役割を果たそうとしているか-

EUインスティテュート関西副代表
(大阪大学大学院国際公共政策研究科准教授)
栗栖 薫子


外交・安全保障政策は、国家主権の中核であるために、共通の政策をとることは難しく、欧州でも長い間、政府間の事項として扱われてきた。本講義では、まず、欧州諸国が外交面での協力を進めるにあたって、いかなる試みを行ない、どのような困難に直面してきたのかを歴史的に概観する。その上で、1990年代後半以降の欧州諸国の共通外交安全保障政策(CFSP)における大きな諸変化―欧州安全保障・防衛政策(ESDP)の導入、緊急展開部隊構想など―を、NATOとの関係、加盟諸国間の意見対立、展開能力の構築努力といった側面から解説する。EU諸国が、国際社会でどのような役割を果たそうとしているのかを考えたい。
【第9講 07/11】
欧州連合の国境管理・移民政策-EUは外国人労働者問題にどう対応してきたか-

EUインスティテュート関西副代表
(神戸大学大学院法学研究科教授)
濵本 正太郎


欧州連合の域内に住んでいるのは、EU市民のみではない。伝統的に移民の多い欧州連合圏において、国境管理・移民政策はどのように共通化されてきたのだろうか。そして、現在、欧州連合はどのような難民政策・外国人労働者受け入れ政策を採っているのだろうか。
日本における難民政策・外国人労働者受け入れ政策の現在と将来を考えつつ、この問題に欧州連合がどのように対処してきたかを検討する。
【第10講 07/18】
欧州連合の拡大-「ヨーロッパ」の境界はどこにあるのか-

EUインスティテュート関西アウトリーチ・学術交流部会代表委員
(神戸大学大学院経済学研究科教授)
吉井 昌彦


6カ国から出発した欧州連合(EU)の加盟国も現在では27カ国になった。2004年、07年の第5次拡大により旧社会主義国が加わり、その境界は大きく東へ張り出すこととなった。
今後はどこまで拡大するのだろうか?ポーランドが加盟したのであれば、ウクライナの加盟はどうなのか?ルーマニアが加盟したのであれば、モルドヴァの加盟はどうなのか?
この講義では、(1)第5次拡大はEUの深化と拡大にどのような影響を与えたのかを振り返ると共に、(2)欧州近隣政策を眺めることにより、EU拡大の今後を考えたい。
【第11講 07/25】
欧州連合の将来-EUは何を目指すのか-

EUインスティテュート関西代表
(神戸大学大学院経済学研究科教授)
久保 広正


2007年、ブルガリアとルーマニアがEU加盟を果たしたことにより、EUは計27ヶ国、人口4.9億人、GDP14兆ドルもの規模を有する巨大な地域統合にまで発展した。ただ、巨大であるからこそ、EUは様々な課題に直面している。意思決定の簡素化・迅速化、EUと市民との「距離」縮小などである。こうした課題に答えるため、EUは様々な努力を積み重ねている。例えば、欧州憲法草案の策定などである。
ただ、この欧州憲法草案にしても、2005年、フランスおよびオランダにおける国民投票で批准が拒否され、現在、「凍結状態」にある。果たして、将来のEU像はいかなるものになるだろうか。トルコを始めとする新たな加盟申請国に、EUはどのように対処するのであろうか。世界経済・政治におけるEUは、どのようなものになるだろうか。
【第12講 08/01】
日本と欧州連合-経済摩擦から日欧協力へ-

EUインスティテュート関西代表
(神戸大学大学院経済学研究科教授)
久保 広正


かつて、日欧関係といえば、直ちに「貿易摩擦」が連想されるほど、両者は対立を繰り返してきた。日欧間で巨額な貿易インバランスが存在したからである。ただ、依然として貿易インバランスが存在するにもかかわらず、現在、日欧間では深刻な経済摩擦は存在していない。投資交流が一段と活発化していることが、その一因である。事実、欧州企業の対日投資は盛んであるし、日本企業の対欧進出も衰えをみせていない。
また、日欧は、WTO(世界貿易機関)における多角的貿易交渉、地球環境問題など世界規模の問題に共同で取り組もうとしていることも重要である。本講義では、こうした日欧関係を振り返り、新たな時代における日欧関係について展望する。